鉛筆の持ち方のお話です。学校では、親指と人差し指で鉛筆をはさみ、中指を横から当てて三本指で支える【図1・2】、という指導をしています。こうすると、手を握り込むように親指と人差し指を曲げたり、中指で押し戻したりすることで、細かな動きをすることができます。
【図1】 【図2】
ところが近年、親指が人差し指の上にかぶさる【図3】の持ち方をする子が増えました(十年余り前、亡くなられた教員のお通夜の受け付けで、記帳する女子高校生の多くがそうで、驚きました)。書写の硬筆の授業で見ていても、この持ち方の子が本当に目につきます。中には【図4】のように、親指が伸びきっている子もいます。こうなると人差し指が鉛筆にぴったりつき、曲げ伸ばしができなくなります。鉛筆の先を指先の動きで微妙にコントロールすることができず、手首の曲げ伸ばしで大雑把に動かすことしかできません。さらに【図5】のように、手首が曲がって鉛筆が向こうに倒れると、肘や肩から動かさないと、字を書けないことになります。
【図3】 【図4】 【図5】
逆に、親指を鉛筆に巻きつけて握りこみ、親指の上に人差し指をのせる子もいます【図6】。また、まるで毛筆の大筆を持つように、人差し指と中指が鉛筆にかかる「二本がけ」になってしまっている子【図7】、力が入りすぎているのか、人差し指の第2関節が曲がりきっている子【図8】と、さまざまな持ち方が見られます。
【図6】 【図7】 【図8】
うまく字が書けない持ち方の共通点は、いずれも人差し指の屈伸ができず、安定した細かなコントロールができないことです。特に、「はらい」や「はね」がなかなか書けません。小学校に入学した時点ですでに【図3】~【図8】のような持ち方が癖になっていて、矯正するのが困難になっているケースが少なくないのです。電話の番号ボタンを人差し指ではなく、親指でプッシュする子がいることを書きましたが、今の子ども達、人差し指の使い方が不十分になっているのかもしれません。
一度、お子さんの鉛筆の持ち方を、確かめてみてください。
【2年生の書写の授業で。もちろん硬筆です…夏の写真です(^_^;】